哲学

哲学

「騙されぬ人々は彷徨う」 ジャック・ラカン「テレヴィジオン」から

ラカンはこの言説を自衛のために使用すると言っている。彷徨う理由は、普通に考えれば、正しい道や、正しい答えなどを知らないことによるはずだ。だから彷徨うのであろう。そうであるならば、正しい道や、正しい答えを知っている人こそ、騙されないと言えるは...
哲学

「ソシュールを読む」丸山圭三郎 ~その②~

ランガージュとは、ラング(言語体系)とパロール(発話)の総体である言語活動である。丸山は、このランガージュによって、主体と世界が相互に差異化されると説く。しかし、その差異化が相互的になされることについての説明は簡素になされているため、少々わ...
哲学

「ソシュールを読む」丸山圭三郎 ~その①~

ソシュールは、表現と内容は分離できなものだとする。表現には、例えば「身振る」「描く」「彫る」「歌う」「話す」「書く」などがある。表現は芸術に限られたものではない。こうした表現活動において、内容は表現と同時に生まれるというのである。換言すれば...
哲学

「創造的失業の権利」イヴァン・イリイチ ~その②~

クライシス(転機)というギリシア語に由来する言葉は、「選択の道」、「分かれ道」を意味してきた。しかし現在では、「ドライバーよスピードをあげろ」を意味するようになったとイリイチは言う。クライシスは、スピードを上げるが故に必然的な襲いかかってく...
哲学

「創造的失業の権利」イヴァン・イリイチ ~その①~

「中等後の学校教育、成人教育、予防医学、幹線道路、電線を張りめぐらした包括的な集落に万人が近づくことは、まだ立派な目標であった。今日では、教育、運輸、健康ケア、都市化などをめぐって組織化され、神話を作りだす大祭儀が部分的ながら解明されてきた...
哲学

欲望機械 その①

欲望機械とは二項機械のことである。二項機械とは、ひとつの機械がもう一つの機械に連結している状態のことである。この連結は二つの機械の間で閉じてしまっているのではなく、一方の機械は第三の機械と連結することで、……と、……と、というふうに二項系列...
哲学

隷属と服従の区別 平滑と条里について

『千のプラトー』において、ドゥルーズは「機械状隷属」と「社会的服従」の区別を説明している。隷属とは、人間が自己の主体性を失い、他の人間や技術的機械、道具と共に同じ構成部品の一部となって協働することである。上位コードの管理下に置かれ、歯車とな...
哲学

「コンヴィヴィアリティのための道具」イヴァン・イリイチ ~その③~

イリイチは、自立共生的な再構築には今日の政治目的を逆倒することが必須だとし、それが人々の生き残る唯一の手段だと考える。道具の使用が、今日の政治的目的である経済発展の手段としてそれに従属する限り、道具の使用そのものの楽しみはその目的から疎外さ...
哲学

『物質と記憶』アンリ・ベルクソン 〜その④〜

ベルクソンは、第一章における考察のまとめとして、知覚を以下のように図式化している。「知覚においては、次々と絶えることのない瞬間的ヴィジョンを記憶力の連続的な糸で繋いでいくことに限られ、それらのヴィジョン自体はわれわれのほうではなく、むしろ事...
哲学

『物質と記憶』アンリ・ベルクソン 〜その③〜

ベルクソンは、情感という語を身体内部に位置付けられる諸感覚の意味で使う。表象が対象の側に属する緒状態を示すのに対し、情感は身体表面ないし内部の状態を指す。情感は身体内部の物質的状態の知覚から生じ、怒りや喜びといった非物質的とされる感情とはひ...